■ 麦にこだわる蔵元 ■

初めてお会いしたとはおもえないとても気さくな藤居淳一郎さん。
蔵元で専務を務められる藤居(左)さんと私

やっと出逢えた麦焼酎!
今回ご紹介させていただくのは、大分県でこだわり麦焼酎をつくる藤居醸造さんです。蔵元のある千歳村へは、大分駅からJR肥後本線で20分あまり、駅前には大野川が流れるとても静かな山村です。この肥後本線ですが瀬戸内海を望む大分市から、阿蘇の山々をこえ、熊本まで延びている、いわば九州横断鉄道として観光客や地元の足となり活躍しているいる電車です。いや列車です!(犬飼駅の駅長さんよりジーゼルで走っているので電車じゃない!とご指摘を受けました。)

さて、藤居醸造さんへはじめての訪問ということで少々緊張しながら門をたたくと、笑顔で迎えてくれたのが専務をつとめられる藤居淳一郎さん。飾らない気さくな人柄のおかげで私の緊張もすぐにほどけ、何年ものお付き合いの様に接してくださったのがとても印象的でした。

じつは、私がここに来るまでは長い時間がかかりました。本格焼酎といえば米・麦・芋・そば・黒糖…とさまざまなタイプがありますが、首都圏でなじみが深いのが麦や米ではないでしょうか。しかしながらこの麦焼酎は、大手の醸造メーカーが寡占的な支配をしていて、手づくりで品質本位にこだわる蔵元が圧倒的に少ないのが現状です。店頭でお客様においしい麦焼酎はないの?という問い合わせをいただいても「残念ながら・・・」というコメントしかできず、長いあいだ探していた麦焼酎の造り酒屋さんにようやくたどり着いたというのが私の正直な感想です。この事を藤居さんに話すると...「麦焼酎にこだわってるところなんかないですよ!」とかなりあっさりと返されました。


千歳村にある犬飼駅で1時間あまり列車を待つあいだ駅長さんにとてもおせわになりました。
九州を横断するJR肥後本線(犬飼駅にて)

麦を蒸す釜を写真でご紹介できなかったのがとても残念ですが、昔ながらの木樽がつかわれています。
蒸しあがった麦に麹菌をつけ
麦麹をつくる作業

ベルトコンベアーやシューターといった運搬機械はなく、すべて昔ながらの手作業にささえられています。
小さなザルニ入れて麹室まで運びます

味を守るため手造りにこだわる・・・
さっそく蔵の中を案内していただくことになり、事務所と販売店に隣接する作業場に入ると5〜6人の蔵人、いや、ご家族の方々が忙しそうに仕込み作業やラベル貼りにおわれていました。写真の仕込み風景は、ちょうど麦が蒸しあがったところで、櫂を入れて冷ましたあと、種麹をまいている様子です。

麹菌をつけた麦は、麹室に運ばれ一晩過ごした後、一升づつモロブタというトレーのような木箱に入れて麹を丁寧に育てます。こうした行程を日本酒にたとえるなら、いわゆる吟醸酒造りで、一般酒の仕込みではあまり見ることができません。ましてや焼酎の造り酒屋さんからはほとんど姿を消しているのではないでしょうか?出来上がった麦麹は、少し離れた仕込み蔵まで樽に入れて(なんと、二人がかりで担ぎ何往復もするようです)運ばれ醪(もろみ)をつくります。1次仕込み・2次仕込みと2段階に仕込みが行われること約2週間。できあがった醪を蒸留してようやく焼酎が生まれるわけです。

簡単な説明となってしまいましたが、どの行程も想像を絶するほどの重労働で酒造りの大変さを痛感します。ここ藤居醸造ではめっきり少なくなってしまった昔ながらの酒造りを受け継ぎ、飲みやすさより、飲みごたえのある酒造りを目指しているということです。代表的な銘柄「自然麦」を口に含むと、麦焼酎ならではの柔らかな味わいの中にも、麦の持つ旨み、甘味がうまく表現されています。今回の珍道中は、藤居さんが言っていた「麦焼酎にこだわってるところなんかないですよ!」という言葉を考えさせられた旅となりました。

人の背丈ほどの小さなタンクが並んでいます。
麦麹に水と酵母を入れて発酵させます

 

蒸留装置は、左側の釜から立ち上った蒸気が配管を伝わり右側の桶で冷却される仕組みになっています。
発酵でできた「もろみ」を蒸留します

ほとんどの酒蔵で機械化されているラベル貼りも、ここ藤居醸造では手作業でおこなわれています。
ラベル貼りまで手作業、奥に見えるのは
熟成酒をつくるカメ!

≪関連情報≫

1.藤居醸造さんのお酒・・・「自然麦」

2.「大分県大野郡千歳村はどのあたり?」という方は・・・ 


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――酒屋珍道中――