珍道中日記「女性杜氏が造る焼酎・寿福酒造場」

■女性杜氏が造る焼酎・寿福酒造場■

今回は、熊本県人吉市にある寿福酒造場さんを訪ねました。

蔵を切り盛りするのは、寿福絹子さん。球磨焼酎をつくる30蔵あまりのなかで、ただひとり、女性杜氏なのです。

蔵のあちこちに花が生けられ、民芸品や古い道具がきれいに飾られています。
人吉市のにぎやかな商店会から、車で5〜6分あまり、球磨川の支流、胸川沿いに寿福(じゅふく)酒造場さんがあります。かつてこの地域は問屋街だったということで、蔵元の敷地に隣接して、船着場があったようです。しかし、昭和51年に護岸工事で、そのたたずまいもなくなってしまったようです。
護岸工事で、蔵元の敷地も半減してしまったものの、寿福酒造場さんでは残された木造家屋を大切に保存されています。左の写真は、テースティングルームとして利用されている純和風の部屋。すばらしい!

さらに、大切に守っているものは「昔ながらの酒造り」
 
機械に頼らず、手づくりによる麹づくりや、かめ壷仕込みなど、たくさんのこだわりがありますが、最大の特徴は、なんといっても常圧蒸留なのです。
 
かつて、球磨焼酎がいっせいに、軽く飲みやすい減圧蒸留に切り替わったときにも、かたくなに常圧蒸留を守ってこられました。「常圧のほうがうまか」という信念をつらぬき通してきたのです。
 

そして、昨今の焼酎ブームのあおりを受け。飲みごたえのある焼酎(常圧蒸留)へと風が変わってきているのです・・・・。

球磨焼酎といえば、米焼酎の代名詞ですが、ここ寿福酒造場さんでは、麦焼酎もつくっていて、私がおじゃました時には、麦焼酎の仕込みが行われていました。

 

毎年、新米が出来る10月から12月ごろまでは米焼酎をつくり、その後1月から5月ごろまでが麦焼酎の仕込みにあてられるようです。

 

 
寿福杜氏のこだわりは、新鮮な原料を使って、できた焼酎をしっかり寝かせること。だから必然と、少量生産になってしまうのです。
 

時代に流されない強い信念、さらに女性ならではの繊細なまでのこだわり。これは男まさりというか、男にはとうていまねのできない、母親の情熱が酒造りをささえているように思えてなりません。酒造りは「子育てのようなもの」という言葉が印象的でした。